小中学生向け
科学と科学者のはなし
大学生の頃、お世話になった物理学科の教授は、寺田寅彦物理学を礎として日本の物理学が発展したのだ、とよく話していらっしゃいました。当時あまり興味はなかったのですが、最近少し興味を持つようになっていました。
夏目漱石と親交のあった寺田は、文筆家としての一面も併せ持っており、若年層に向けた様々なエッセイを遺しています。
広い視野で様々な話題を取り込み、広く自然科学や文学に対する興味をかき立てられるとても楽しい読み物になっています。小学生にはややハードルの高い読み物かもしれません。中学生以上推奨です。
数の悪魔 算数・数学が楽しくなる12夜
タイトルはちょっと恐めですが、数を嫌いになるような内容ではありませんのでご心配なく。素数の話、1と0の話など、様々な数にまつわる話を物語風に読み進めていくことが出来ます。
難しい漢字にはふりがなが振ってあるため、小学生高学年なら読めるかもしれませんが、おすすめは中学生ですかね。
このスプーンは、結構うるさい
NIMS(国立研究開発法人物質・材料研究機構)では、「未来の科学者たちへ」という動画シリーズを公開されていらっしゃいます。様々な新素材の性質を興味深く教えてくれる素晴らしい動画です。
その一部をDVD化したのがこれ。動画はyoutubeで閲覧できますが、裏話なども書かれていてなかなか楽しい本になっています。小学生が見ても十分楽しいと思いますし、大人が見るとまた、違った目線で楽しめるのではないかと思います。
高校生向け
ご冗談でしょう,ファインマンさん(上下)
物理学会の巨人、ファインマンに関する様々な体験談をまとめた一冊。物理の知識などなくてもすらすら読めるショートエッセイ集。
いたずら心満載な数々の逸話辿ると、彼の能力の高さと底意地の悪さを満喫できます。その場の光景がありありと浮かんで、漫画を読んでいるような気分になります。あちこちでちょっとニヤッとさせられてしまうような本です。
特に印象に残っているのは、そろばんの達人(日本人)との対決の話。もちろん日本人の僕ですが、ファインマンに感情移入して、最後にはよっしゃ、完全勝利!と言う感覚で満たされました。
予備知識なく読める本ですので、理系志望の方だけでなく、世の天才の思考に触れてみたい、と言う人向きの本です。
高校生が感動した微分積分の授業
高校生が感動した確率統計の授業
正直に言ってしまうと、講師の立場からすれば、そんなの当たり前だろうという話のオンパレードなのですが、高校生・受験生の皆さんがつまずきやすい所を集めている、と言う意味でよくまとめられていると思います。
一通り微積や確率を学習し終えた受験生の皆さんが読めば、なるほど、そういうことだったのか、という気付きがいくつもあるのではないかと思います。こういった類いの本は世にほとんど存在しないので、理系に進みたい人は特に、一見の価値があります。
Advanced ・保護者様向け
ファインマン物理学(全5巻)
CALTEC(カリフォルニア工科大学)で実施された伝説の物理の講義をまとめ上げた一冊。本来大学初等年度を対象としたテキストですが、私は受験生の頃に(力学編だけですが)読んで心揺さぶられた一冊です。(高校物理を(ある程度)理解できている人対象)
講義を担当したのは、ノーベル賞物理学者で変人との声も名高い(?)リチャード.P.ファインマン。彼の独創的な世界観を体感し、物理学に対する視野を広げてみませんか。
熱々のスープをすくって、フーフーするとなぜ温度が下がるのか。
橋などのトラス構造の構造物のうち、どの部分をワイヤーに変えてよいのかを簡単に見抜く方法など、面白講義が盛りだくさんです。
講義の明快さに対し、巻末に添えられた演習問題はなかなかの難易度ですので、物理の研究者志望の方か、一部の物好きの方以外には余りおすすめできません。
数学再入門
受験生の頃、愛読していた数学の参考書は大学への数学(研文書院)のシリーズでした(残念ながら数年前に廃業してしまいました)。受験参考書というよりは数学ヲタクのために書かれたような本であったため、多数派の本ではありませんでした。私の場合、後に東大数学科に進んだ友人が使っていたのを盗み見て、あれやってみようとやり始め、苦労してモノにした本でした。
その著者のひとりであった長岡氏が社会人に向けて書き下ろしたのがこの本です。自らの定期テストや受験から離れた立場で改めて数学を眺めると、新たな発見があるわけで(この業界にいればわかることではありますが)、数学を好きだった方には楽しい追体験が出来るものと思われます。